「マジックコンピューター」はマジコンの「正式名称」か?2

wikipediaによれば*1

名称の由来は、スーパーファミコン用のコピーツール「スーパーマジコン(フロントファーイースト社製)」。

とのこと。【電脳遊戯X】ゲーム業界を暗躍する影「マジコン」のルーツに迫る - ライブドアニュースの記事が当時の状況を解説している。
記事によれば

スーパーマジコンのマジコンとは、「魔法のように何でもできるコンピュータ=マジックコンピュータ」を略した造語である。

さらに余談だが、マジコンという総称が使われているのは日本だけであり、マジコンの本場である中国ではフラッシュカート(焼録★*1)という総称でよばれている。
※1:★は峠からやまへんを外した漢字

とのこと。

マジコンの由来となったスーパーマジコンが製品ゲームからのバックアップと、そのバックアップデータでのプレイが可能だったことから、以前は「製品ゲームのバックアップとバックアップしたゲームを実機でプレイできる機器=マジコン」と定義されていた。しかし、最近ではバックアップ機能を持たないプレイ機能だけの機種も多数登場している。以前であればバックアップ機能をもたないマジコンに使い道も存在意味もなかったのだが、インターネットが普及した現在では、バックアップしたゲームデータを違法配布するサイトの登場によりプレイ機能のみの機種が増えるにいたっている。

現在では、これらバックアップ機能を持たない機種もマジコンと呼ばれているため、マジコンの定義は「製品ゲームのバックアップとバックアップしたゲームを実機でプレイできる機器」から「バックアップされた製品ゲームを実機でプレイできる機器」へと変化している。

要点は、「マジコン」とは不正ゲームを任天堂のゲーム機でプレイできるようにする機器の総称である。先日地裁判決の出た訴訟でも、「本来ニンテンドーDS上では起動しないはずのゲーム・プログラムの複製物が、起動可能となる」ことから不正競争防止法違反が問われている。*2
なお、マジコンメーカーの公式サイトでは、「マジコン」「マジックコンピューター」等の単語はもちろん、「ニンテンドーDS」といった単語も一切でてこない。ただ、携帯ゲーム機をマルチメディアプレイヤーにできるとだけ説明されている。ただ唐突に「任天堂社のライセンス製品ではありません。」という断り書きが1行あるだけである。
もちろんメーカーサイドは特定の機器ではなく不正コピーを起動可能とする機器全般を問題にしたいため、「いわゆるマジコン」「マジコンなど」と含みをもたせた表現を使っている。
つまりマジコンメーカー、販売業者、ゲーム機メーカーいずれにとっても「正式名称」が問題にはならない。


任天堂は海外でもスペイン*3、フランス*4とマジコン訴訟をおこしていたけれど、こちらは敗訴になった。*5海外報道での表現も見ておいた方がいいか。
東京地裁判決に言及したPCWorldの記事ではこうなっている。

n February 2009, the Tokyo District Court granted an injunction filed by Nintendo in July 2008 to "stop the distribution of game copying devices" by "multiple parties" who'd been importing and/or selling a popular flash-based devices called the R4.

ほかには"flash-cartridge""flash cartridges usable on the DS""flash linker"(これはゲームボーイ用商品の通称か?)などの表現がみられる。
任天堂による海外版不正コピー撲滅サイトNintendo - Official Site - Video Game Consoles, Gamesでは、"game copier""game copying device"の語が使用されている。